1-4. 利用の注意点

ヨーロッパには数多くのLCCがあり、使おうと思えばどのルートででもLCCを使うことができます。
ただし、バカの一つ覚えのようにLCCばかり使おうとしていては、大切な旅行日程がLCCのフライトスケジュールに振り回されてしまったり、果てには大手航空会社より費用が高くついてしまったりします。
よって、LCC利用を検討するにあたっては、以下の点をよく踏まえるようにしましょう。

LCCが最適とは限らない

例えば、フランクフルトからパリに移動したいとします。
ネットで調べてみると、候補が2つ出てきました。
1. ルフトハンザ(フランクフルト・マイン→パリ・CDG)
 →昼12時発 100ユーロ
2. ライアンエア(フランクフルト・ハーン→パリ・ボーヴェ)

 →朝6時半発 20ユーロ
旅費を安く上げるためには、断然2のライアンエアを使った方が良さそうに見えます。
しかし、この背後には実はこういうコストが潜んでいます。

・市内のホテル→バス乗り場へのタクシー代 10~20ユーロ
 (※午前3~4時だと公共交通機関はほとんど動いていません)
・市内→ハーン空港へのバス代 15ユーロ
・ボーヴェ空港→市内へのバス代 15ユーロ
・(スーツケースがある場合)荷物料金 10ユーロ

これらを合計すると、チケット代と合わせて70~80ユーロ程度になります。既にこの時点で、料金差は20~30ユーロです。これに加え、こんなデメリットももれなく付いてきます。

・当日は早朝4時発のバスに乗らねばならない(=深夜3時起床)
・バスに乗り遅れた場合、挽回不可能(=もれなくチケット買い直し)
・翌日は睡眠不足(=体調不良、うっかりミスの要因に)
・マイルが貯まらない

結果的に、上記のような隠れたコストとデメリットを計算に入れた上で、LCCを使うかどうかを考える必要があります。表面的な料金差に目を奪われて、痛い思いをした人は無数に存在しています。
現在はルフトハンザなどの大手でも、早割などでLCC並みの料金を出しており、料金差は縮まっています。大手なら、利用する空港も町から近く、荷物も無料で預けられ、マイルもたまり、機内サービスもあって、いいことだらけです。
最初からLCCありきで検討するのではなく、トータルコストと長所短所を計算に入れた上で、フライトを決められることをお勧めします。

何事も自分で解決する能力と覚悟

LCCは、基本的に乗客を移動させることと、それに付随する最低限の作業しか行いません。よって、何か困ったことが起こっても、基本的に自力で解決する必要があります。
例えば、「搭乗時間直前になって、突然搭乗ゲートや時刻が変更される」という事態がよくあるのですが、その場合は、ゲート周辺の様子、周りの様子、空港内の案内板の表示などから、自力でこの変化を察知して、適切な時刻に適切なゲートに向かわねばなりません。アナウンスや案内を待っていても無駄です。
何でお客なのにこんなに苦労せねばならないのか?と日本的な感覚では思ってしまうのですが、それだからこその低価格なのです。試されていると思い、実際に搭乗するまでは迅速かつ冷静に対応していきましょう。
そして、こんな何かのプレイっぽい事態に自力で対処できなさそうな方は、LCCではなく大手の航空会社を利用した方が良いと思います。

続いて、利用にあたってのプロセスを知りたい方は、2-1.フライトの検索のページにお進み下さい。