1-3. 欧州LCCの特徴

続いて、ヨーロッパのLCC固有の特徴を見てみましょう。
既にご存知の方は「ヨーロッパのLCCあるある」みたいな感じで再確認して頂ければと思います。

空港が死ぬほど町から遠い

ヨーロッパのLCC、特にライアンエアは、コスト削減の手段として 「町のメインの空港ではなく、郊外の小さな空港(Secondary Airport)を使う」という方法を多用します。東京で言えば、羽田や成田ではなく、茨城空港を使うようなイメージです。

まぁ我々旅行者にとっては「安けりゃ、ちょっと遠くてもいいよ」と一瞬思ってしまうのですが、これがシャレにならないくらい遠い場合があるのです。
代表的なSecondary Airportとして、ドイツの「フランクフルト・ハーン空港」が有名で、ここはフランクフルト市から軽く130kmほど離れています。日本で言うと、東京から富士山くらいの距離ですね。感覚的には静岡空港を「Tokyo Airport」と呼ぶような感じです。 
端的に言うと詐欺ですね。

ちなみに徒歩だと25時間かかります

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実際、この空港を「フランクフルト(ハーン)空港」と呼んで使用し始めたライアンエアに対し、かつてルフトハンザが「それって詐欺じゃね?」って裁判を起こしていました。これに起因する主なデメリットとして、こんなものがあります。

・空港~町まで時間がかかる(約1~2時間)
・同じく、バス料金がかかる(10~20ユーロ)
・空港~町のアクセスがバスしかない場合が多く、このバスに乗り遅れると大変な目に遭う 等々・・・


ということで、ヨーロッパのLCCを利用する際には、チケットの値段とともに利用する空港がメインの空港かSecondaryかの確認が非常に重要な作業になります。
主なSecondary Airportについては、このサイト内の「6)空港案内」で詳しく解説していますので、必要があればご参照ください。

座席指定に制限あり

結論から言うと、好きな席に座るには追加料金がかかります。
・自由席の場合
ライアンエア、Wizzなどは座席が自由席で、先着順に好きな席に座ります。早く搭乗すれば好きな席を選べ、逆に遅く搭乗した場合は残った席から自分の席を選ぶことができません。
その椅子取りゲーム形式で良ければお金はかかりませんが、「いやいやせっかくの旅行だし一緒に座りたい」という方のために、「優先搭乗権(Speedy Boarding)」という素敵なオプションが用意されています。
このオプションを買うと、文字通り他の人より先に搭乗することができ、好きな座席を確保できます。
なお、優先搭乗権を買うと、ボーディングの際の優越感が尋常ではありませんが、逆にオプションを買っていない人々からの「LCC使ってるくせに小銭使っていい思いしやがって」という眼差しも浴びることになります。
・座席指定の場合
近年流行しているのが「座席指定だけど、座席の割り振りは自動」というパターンです。何せ自動で割り振られるので、グループだと一緒に座れるかどうかは運次第です。で、上と同じく「いやいやせっかくの旅行だし」という方には、こちらも「お金を払って座席を指定する」というオプションがちゃんと用意されています。
ちなみに、席なんてどこでもいい、という一人旅の方にはどちらにせよ無関係です。

追加料金の取り立てが絶妙に上手い

ヨーロッパのLCCは20年近い歴史があるため、客から金を巻き上げる手段も相当洗練されています。上記の「座席指定の料金」 なんて可愛いもので、その他にも様々な策を弄してきます。
例えば、こんな感じです。

・購入時に「何かあった時のために、旅行キャンセル保険に入った方がいいですよ」としつこく勧められるが、よく約款を見てみると、適用条件が非常に厳しく、事実上ほとんど使えない
・購入時にデフォルトで「預入荷物1つ:10ユーロ」などと勝手に有料オプションが選択されている
・予約変更するためにはカスタマーセンターに電話するしかなく、その電話料金が異常に高い。よって、仮に予約変更に成功しても、結果的にチケット代より高い電話代を払うハメになる 等々・・・

ということで、相応の知識と気合を持って臨まないと、どんどんとお金が巻き上げられてしまうので要注意です。

倒産しやすい

2) 欧州LCCの歴史のページでも記載しましたが、これまでヨーロッパで設立されたLCCのうち、既に7割が消え去っています。
過去、イタリアのVolare、東欧のSky Europeといった、利用者が多いLCCが突然倒産した時には、このサイト(旧サイト)でも被害者が続出し、欧州内でも大変な騒ぎになりました。
これについては、利用者はどう手立てしようもないのですが、そういう事態も起こり得るということを利用前に留意頂いた方が良いかと思います。

続いて、実際に利用するにあたっての注意点を、4)利用の注意点にまとめていますので、利用予定がある場合はご参照ください。